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映画「スモーク」とアメリカのクリスマス

2025.11.13
ちょっと寄り道

1か月前くらいまでは半袖でも過ごせたのに、急に空気が冷たくなり、コート姿の人も増えてきました。来月にはクリスマス。世界は祝祭ムードに包まれます。クリスマスを題材にした映画は数多くありますが、私が真っ先に思い浮かべるのは『スモーク』という作品です。アメリカの作家ポール・オースターの短編を原作としたこの映画は、ニューヨーク・ブルックリンの小さなタバコ屋を舞台に、そこに集う人々の人生が交差する様子を描いています。派手さはありませんが、人のやさしさを感じられる心温まる話です。

特に印象的なのが、タバコ屋の店主オーギー・レンが後半に語るクリスマスのエピソードです。昔、自分の店の万引き犯が財布を落として逃げた。その財布を届けに行った家にいたのは盲目の老婆で、訪ねてきたオーギーを自分の孫だと思い込んだため、話を合わせて一緒にクリスマスを過ごしたという話です。

このエピソード中で、老婆がオーギーに振る舞う料理のひとつが「七面鳥のロースト」です。アメリカでは感謝祭と並んでクリスマスの定番料理であり、家族が集まる食卓の中心に置かれることが多い一品です。外はパリッと、中はジューシーに焼き上げられた七面鳥に、クランベリーソースやグレイビーを添えていただくのが一般的。付け合わせにはマッシュポテトや芽キャベツ、スイートポテトのキャセロールなどが並びます。調理には数時間を要するため、家族総出で準備することも多く、料理そのものが「家族の時間」を象徴する存在でもあります。

なぜ七面鳥なのか?その理由は、アメリカの歴史にあります。17世紀、ヨーロッパから移住した人々が新大陸で手に入れやすかった大型の鳥が七面鳥でした。感謝祭やクリスマスに七面鳥を食べる習慣は、やがて「家族が集まる特別な日の象徴」となり、今も続いています。地域によってはオーブンで焼く代わりにスモークしたり、フライにしたりと調理法も多様です。南部ではスパイスを効かせたスモークターキーが人気で、香り豊かな燻製の風味がホリデー気分を盛り上げます。

アメリカのクリスマスは、日本のように恋人と過ごすというよりは、家族と一緒に過ごす時間を大切にする日です。遠方に住む家族が帰省し、暖炉の前で語り合ったり、ツリーの下でプレゼントを交換したり、教会で礼拝に参加したりと、過ごし方は家庭ごとに異なりますが、共通しているのは「誰かと一緒にいること」の価値です。近年ではボランティア活動やチャリティへの参加も増えており、「誰かのために何かをする」という精神が根付いています。ホームレス支援の食事会や、子どもたちへのプレゼント寄付など、地域社会とのつながりを感じる機会にもなっています。

映画『スモーク』が描くような静かなクリスマスは、家族や身近な人と過ごして幸せを分かち合うこうした文化の背景にも通じています。

この時期、出張先でも、現地のレストランに入ったり、町のショーウィンドーをのぞいてみると、様々なクリスマスの風景を垣間見ることができます。

今年のクリスマス、皆さんはどんなふうに過ごされますか?

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